伝記
ヘルミアス(ヘルメイアス)は、410年頃に生まれ、470年より前に没した新プラトン主義の哲学者である。アレクサンドリアの生まれで、没年は450年頃ともいわれる。
彼はアテナイに赴いて、シュリアノスのもとで哲学を学んだ。そこでシュリアノスの親族にあたるアイデシアと出会った。アイデシアはもともとプロクロスの婚約者で、まだ幼いころにシュリアノスがプロクロスとの結婚を約束していたとされる。しかし、神の警告を受けたプロクロスが婚約を解消し、まもなく彼女はヘルミアスと結婚した。
しばらくアテナイで過ごしたのち、ヘルミアスは家族とともにアレクサンドリアへ戻った。彼はシュリアノスの教えをアレクサンドリアにもたらし、ホラポロンの学校でプラトン哲学の講義を行って、国家から報酬を受けた。寓意的な解釈の方法はアテナイの学派で身につけたものとされ、第一原理である一者、ヌース、魂という新プラトン主義の説を論じたという。プロクロスと同様に、魂には光でできた固有の身体があるとし、物質的な身体とは異なる「気息的な身体」の概念を導入したとも伝えられる。また想像力についても、受け身のものでも、反省の過程から生じるものでもなく、思考されるものと感覚されるものが分けられない一つの全体となった精神の状態から生じるとする考えを示したという。
著作でただ一つ現存するのは、プラトンの『パイドロス』への注解である。これはシュリアノスの講義に基づく覚え書きとされ、後世の学者ダマスキオスが、ヘルミアスはみずからの見解をほとんど述べなかったと評したことも一因となって、そのように理解されてきた。ただ、本文をよく読むと、シュリアノスへの依存は従来考えられたほど大きくなく、むしろイアンブリコスの方法と教えに強く依拠していることがわかるともいわれる。注解は『パイドロス』に目的は一つしかないとし、主題を「あらゆる意味で美しいもの」とみなす。ソクラテスは神的な世界の使者として描かれ、ホメロスやオルフェウスは神に霊感を受けた詩人、すなわち神学者として扱われる。注解の最古の写本は13世紀にさかのぼる。15世紀末には人文学者マルシリオ・フィチーノが、この注解をラテン語に翻訳した。
ヘルミアスは、子のアンモニオスとヘリオドロスがまだ幼いうちに亡くなった。しかし妻アイデシアは子らを養うため国家からの収入を受け続け、そのおかげで二人に学問を修めさせ、のちに二人とも哲学者となった。ダマスキオスは、ヘルミアスが比類のない勤勉さで際立っていたが、論敵の反論に説得力をもって答えるには足りなかったと書いている。また、ある本を、売り手が無知のために安く出したのだと考え、その価値以上の代金を払ったとも記している。
同じ年に亡くなった人物
- アプトニオス (450年(推定))
- パラディウス (450年没)
- コルシカのジューリア (450年)
- ポイメン (450年)
- ペトルス・クリュソログス (450年)
同じ地域に関係する人物
- コンスタンディノス・カヴァフィス (1933年没)
- マリク・イブン・アシュタル (658年没)
- Ad-Diba (2016年没)
- Anianus of Alexandria (85年没)
- ムハンマド・アブドゥフ (1905年没)