伝記
ハワード・ジンは、1922年8月24日に生まれ、2010年1月27日に没したアメリカ合衆国の歴史家である。同国では『民衆のアメリカ史』の著者として名高い。政治学者、社会評論家、劇作家としても活躍した。
ニューヨーク市ブルックリンに生まれた。1943年から1945年にかけてアメリカ陸軍航空隊に勤務し、最高位は少尉で、欧州戦線に爆撃手として従軍した。戦後はニューヨーク大学で学び、1951年に卒業して、コロンビア大学の大学院に進んだ。1952年に修士課程を、1958年に博士課程を修了している。1956年から1963年まで、ジョージア州アトランタのスペルマン・カレッジで歴史学の教授を務めた。1960年から61年には、ハーバード大学で東アジア研究のポストドクター研究員となった。1964年から1988年までは、ボストン大学で政治学の教授を務め、そのあいだはボストン近郊のニュートンに、妻ロスリンと暮らした。パリ大学とボローニャ大学では、客員教授も務めた。門下生には、作家のアリス・ウォーカーがいる。
思想は、マルクス主義やアナキズム、民主社会主義の影響を受けており、1960年代から公民権運動や反戦運動の分野で活動した。ノーム・チョムスキーとは政治活動の上でも親交が深かった。最初の著書は『議会のラガーディア』(1959年)で、1960年代には、南部を論じた『南部の神話』(1964年)や、学生非暴力調整委員会を扱った『新しい奴隷解放論者たち』(1964年)を著した。ベトナム戦争については、『ベトナム 撤退の論理』(1967年)を書いて、撤退を主張した。1980年に出した『民衆のアメリカ史』は、1995年に改訂版が出て、日本では1982年に上中下巻で、2005年には上下巻で翻訳された。これを青少年向けに再編集した本が2007年に出て、2009年に『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史』の題で邦訳された。1999年には、マルクスを主人公にした戯曲『ソーホーのマルクス』を発表し、2002年にはアナキストのエマ・ゴールドマンを描いた戯曲も書いた。『テロリズムと戦争』など戦争を論じた本も多く、著書は20冊を超える。
妻のロスリンは画家であり編集者でもあり、夫の全ての著書や多数の記事の編集にかかわった。夫婦にはマイラとジェフの2人の子と、5人の孫がいる。2010年1月27日、心臓発作のため、ロサンゼルス郊外で死去した。87歳だった。
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