伝記
ロアルド・ダールは、1916年9月13日にウェールズのカーディフのランダフ地区で、ノルウェー移民の両親のもとに生まれたイギリスの小説家、脚本家である。シェル石油に勤め、タンザニアやカナダにも行ったが、第二次世界大戦が始まると、イギリス空軍の戦闘機パイロットとして従軍し、5機撃墜を公認されて、エース・パイロットとなった。1940年9月19日、搭乗していたグロースター・グラディエーター複葉戦闘機が、エジプトのマルサ・マトルーフ近郊の砂漠で機位を喪失し、不時着した。重傷を負ったが生還した。しかし、この際に脊髄を負傷したことによる後遺症に、生涯苦しめられた。後に、この事故は、ダールが発進前に受けた、誤った飛行ルートの指示によるものと判明した。
その後、アメリカに駐在中に、与太話やパイロット時代の経験をもとに、小説を書くようになった。作家のセシル・スコット・フォレスターが、取材のために、飛行体験についてメモを書くよう依頼したところ、ダールは、話すより書くほうが早いと思ってメモを作った。このメモが素晴らしかったため、そのままダールの名義で出版されたことが、デビューのきっかけとなった。1942年には、すでにグレムリンの話を書いていた。これをディズニーが映画化しようとしたが、実現しなかった。風刺やブラックユーモアに満ちた短編小説や、児童文学で有名である。児童文学には『おばけ桃の冒険』『チョコレート工場の秘密』『魔女がいっぱい』『マチルダは小さな大天才』などがあり、『ハリー・ポッターと賢者の石』が出る以前には、イギリスの児童書部門で売り上げ1位を独走していた。「奇妙な味」と評される短編小説は、日常的な風景や会話の中に、人間の心の奥底に潜む狂気をうかがわせ、高い評価を得た。2007年に、作家や評論家、翻訳家らへのアンケートで、ミステリ小説のオールタイム・ベストの短編部門の第1位に輝いたのは、『南から来た男』である。ほかに『味』『おとなしい凶器』などがある。1954年、短編集『あなたに似た人』で、アメリカ探偵作家クラブ賞を受賞した。007シリーズで有名なイギリス人作家イアン・フレミングの友人でもあり、映画『007は二度死ぬ』と『チキ・チキ・バン・バン』の脚本も手がけた。
1953年に、女優のパトリシア・ニールと結婚した。ニールは、結婚前に、ゲイリー・クーパーと不倫関係にあり、妊娠したが、クーパーの妻が離婚に応じず、中絶せざるをえなかった。マスコミに袋叩きにされて仕事も来なくなったとき、彼女を可愛がっていた劇作家リリアン・ヘルマンの紹介でダールと出会った。結婚後も女優を続けて、アカデミー主演女優賞を受賞した。5人の子供に恵まれたが、ニールは妊娠中に脳卒中に襲われ、ダールの献身的な看護とリハビリのおかげで、無事に出産し、回復した。しかしダールは、介護中に出会ったフェリシティー・クロスランドとの浮気を理由に、1983年に離婚し、のちにクロスランドと再婚した。2人の間に子供はいなかったが、連れ子の長女オリヴィアが7歳のときに脳炎で亡くなり、息子セオは4か月のときに交通事故で脳に障害を負った。1990年11月23日に没し、のちに妻によってロアルド・ダール基金が設立された。宮崎駿はダールのファンで、『紅の豚』や『風立ちぬ』に、ダールのような、天に昇る飛行士たちの挿話を入れた。
同じ年に亡くなった人物
- ドナルド・A・ウォルハイム (1990年没)
- ポーレット・ゴダード (1990年没)
- レフ・ヤシン (1990年没)
- バーバラ・スタンウィック (1990年没)
- カール・ミュンヒンガー (1990年没)
同じ地域に関係する人物
- チャールズ・エルトン (1991年没)
- アンディ・ギブ (1988年没)
- ジョン・スペンサー=チャーチル (第10代マールバラ公) (1972年没)
- マーヴィン・ピーク (1968年没)
- フレディ・ジョーンズ (2019年没)