HISTORICAL PERSON · 2001年没

ロバート・ラドラム

アメリカの作家。1971年に半年かけて執筆した『スカーラッチ家の遺産』でデビューして話題になり、スパイ冒険小説を多く出版した。

生涯
2001年没
死亡地
アメリカ合衆国(フロリダ州 / ネイプルズ)
出生地
アメリカ合衆国(ニューヨーク)
出典
世界地図
アメリカ合衆国(フロリダ州)

伝記

ロバート・ラドラムは、1927年5月25日にニューヨークで生まれたアメリカの作家で、スパイ冒険小説を数多く世に出した。少年期はニュージャージー州で育った。早くから演劇を志す一方で軍人の道にも引かれ、成年に達する前に第二次世界大戦中の海兵隊に入った。戦争が終わると、ウェスリアン大学で学び直し、俳優や演出家となった。そののち、舞台活動や劇場の経営、声優の仕事など、芸能の世界で長く生きた。

40歳ごろに執筆の道へ転じ、本人は「退路の橋を全て爆破した」と語っている。半年を費やして書いた1971年の『スカーラッチ家の遺産』でデビューした。元女優だった妻は、作家に転身すると宣言されたとき、自分が再び女優として暮らす覚悟を固めたというが、その心配は杞憂に終わった。同作は刊行後たちまち話題となってベストセラーとなり、寄せられた賛辞には「並みのミステリ作家6人が束になっても敵わないほどのスリルとサスペンスに満ち溢れている」というものもあった。フランスの資料はこれをきっかけに、彼がスパイ小説の巨匠として認められたと伝えている。

その後も、1972年の『オスターマンの週末』、1973年の『マトロック・ペーパー』、1978年の『ホルクロフトの盟約』など、作品を世に送り続けた。ジョナサン・ライダー名義でも作品を発表し、マイケル・シェパードの名も使った。著作は世界30数か国で訳されて、発行部数は2億部に達するとされ、スパイ小説は26作ともいわれる。ベストセラーになった理由として、読者を退屈させないという信念が挙げられる。芸能の世界で生きた経験から培われた、独特のサービス精神が影響していると見られている。

代表作は、記憶を失った男ジェイソン・ボーンの闘いを描く三部作で、『暗殺者』(1980年)、『殺戮のオデッセイ』(1986年)、『最後の暗殺者』(1989年)からなる。この三部作はのちにマット・デイモン主演で映画化されて(2002年、2004年、2007年)世界各国で大ヒットしたが、ストーリーの構成は大幅に改められた。ほかに、1982年の『狂気のモザイク』、1995年の『陰謀の黙示録』などがあり、後者は1997年にテレビ映画になった。また、CIAとKGBのエージェントが手を組んで暗殺組織に挑む「マタレーズ」シリーズや、元国務省の特殊部隊員が世界規模の陰謀に立ち向かう「ジャンソン」シリーズがある。

2001年3月12日、フロリダ州ナポリで73歳で没した。晩年はコネチカット州で妻と暮らし、ヨーロッパの古い首都に滞在するのを好んだという。亡くなったとき、複数の小説を同時に書き進めており、うち4作が没後に刊行された。残された草稿は他の作家に託され、ボーンの物語はエリック・ヴァン・ラストベーダーが続編を書き継いだ。ほかに「秘密組織カヴァート・ワン」シリーズなども、没後に他の作家の手で書き継がれている。生前の作品より、「ラドラム原案」とされる作品のほうが今では多い。日本ではボーンの映画化で作者の知名度が上がり、角川書店などから文庫で約50冊が刊行されたが、現在はすべて品切れの扱いになっているという。

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