伝記
クロトンのアルクマイオンは、古代イタリアで生まれたギリシア人の解剖学者、哲学者である。南イタリアのクロトンに生まれた。クロトンはピタゴラス派の中心地であり、アルクマイオン自身もピタゴラス派に属していたとされる。ピタゴラスの弟子だったという説もある。父はペイリトオスと伝えられる。生没年は不詳だが、紀元前5世紀ごろに活躍したと考えられ、紀元前510年ごろの生まれとする推定もある。年代を定めにくいことが、彼の重要性が見過ごされてきた一因だといわれる。生涯の出来事はそれ以上知られていない。
彼が生きた時代、南イタリアの医学の学派は最も有名とされ、病気は科学的で実験的な方法で研究されていた。アルクマイオンは主に医学を書いたが、医師ではなく科学の哲学者だったのではないかという見方もある。天文や気象にも取り組んだとされる。独創的な思想家であり、古代で最も優れた自然哲学者、医学理論家の一人と評されることがある。
彼は、確認できる限り世界で最初に人体解剖を行った人物だと紹介されることがある。そのとき耳のエウスタキオ管を発見したとされる。ただし、解剖の対象が動物だったのか人体だったのかは争われており、この点を伝えるカルキディウスの言葉は、どちらにも当てはまる語を使っているにすぎない。現代の学者の中には、カルキディウスの記述自体を疑う者もいる。カルキディウスは、動物の眼を切除して視神経を調べたと述べているが、彼自身が眼や頭蓋を解剖した証拠はないともいわれる。いずれにせよ、動脈と静脈を区別し、視神経の道筋を示して、脳が精神活動の中枢であり感覚器官と結びつくと推測した。この考えはヒポクラテスにも影響を与え、支持されたという。
感覚の研究については、テオフラストスの『感覚について』が、アルクマイオンの生理学の要約を伝えている。同じ時代のエンペドクレスは、感覚は似たもの同士の作用で生じ、心の座は心臓にあるとした。これに対し、アルクマイオンは、感覚は似ていないもの同士の作用から生じ、心の座は頭にあると結論した。さらに感覚と思考を同一視せず、はっきり区別した。感覚しかできない動物と、思考もできる人間を分けるこの考えは、アリストテレスにも受け入れられた。眼には火と水の両方が含まれるとも述べた。触覚を除く感覚を論じたとされ、プラトンが『パイドン』で感覚や思考を語るとき、彼の仕事に触れたと考える学者も多い。カルキディウスは、眼の本性を調べた功績で、彼をカリステネス、ヘロフィロスとともに称えている。
病気の内的な原因に最初に目を向けた人物とされ、健康は対立する要素の均衡の状態であり、病気は環境、栄養、生活の問題から生じると説いた。眠りは血液が体表から太い血管へ退くことで起こり、血が戻ると目覚め、血がすっかり退けば死が訪れると語った。胎児の発育や、動物・植物と人体の生理との類比についても語っている。ヒポクラテス派の著者やアリストテレスが、眠りについての彼の見方を採り入れたともいわれる。テオフラストスに基づき、キケロやクレメンスは、彼が天体を神的なものと考えたと伝え、アエティオスは、魂が絶えず自ら動くゆえに不死だとする論を彼のものとして示している。『自然について』という書が彼のものとされるが、題名は後世の付与かもしれない。著作はストバイオス、プルタルコス、ガレノスが引く題名と少数の断片しか残らない。「大地は植物の母であり、太陽はその父である」という言葉がその一つとされる。
同じ年に亡くなった人物
- ヒッパソス (紀元前 500年(推定))
- ゴブリュアス (紀元前500)
- スダッタ (紀元前 500年(推定))
- 西施 (紀元前 500年(推定))
- Arcesilaus IV of Cyrene (紀元前500)
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