HISTORICAL PERSON · 2020年没

スタンリー・コーエン (生化学者)

アメリカの生化学者。1986年にリータ・レーヴィ=モンタルチーニと共にノーベル生理学・医学賞を受賞し、ヴァンダービルト大学医学部で長く研究した。

生涯
2020年没
死亡地
アメリカ合衆国(テネシー州 / ナッシュヴィル)
出生地
アメリカ合衆国(ブルックリン区)
出典
世界地図
アメリカ合衆国(テネシー州)

伝記

スタンリー・コーエンは、1922年11月17日にニューヨークのブルックリン区で生まれたアメリカの生化学者である。1986年にリータ・レーヴィ=モンタルチーニとともにノーベル生理学・医学賞を受け、2020年2月5日に97歳で亡くなった。

両親は20世紀初頭にアメリカへ渡ったロシア系のユダヤ人移民で、父ルイは仕立屋、母ファニーは主婦だったとされる。教育は限られていたが、子に知的な達成の価値と、自分の才能を生かすことを教えた。家は裕福でなく、高等教育を受けさせる余裕はなかった。しかしニューヨーク市の公立大学は授業料が無料で、そのおかげで大学に進めた。ニューヨーク市立大学ブルックリン校で化学と動物学(生物学)を学び、1943年に学士号を受けた。大学時代の関心は細胞生物学と、とりわけ胚の発生の謎にあったという。

学費や生活費を得るため、乳製品工場で細菌学者として働いた。その後、1945年にオベリン大学で動物学の修士号を得た。1948年にはミシガン大学で生化学の博士号を受けた。博士論文はミミズの代謝についてのものだった。

最初の研究職はコロラド大学で、小児科学と生化学の分野で未熟児の代謝を調べた。1952年にセントルイスのワシントン大学へ移り、まず放射線科でマーティン・ケイメンのもと同位体の方法を学んだ。そこでは二酸化炭素の固定を研究し、アーサー・コーンバーグの指導も受けた。のちに動物学部門でリータ・レーヴィ=モンタルチーニと共同研究を行い、神経成長因子を分離した。コーエンは、この成長因子がポリペプチド鎖であることを示したとされる。

その後、新生マウスで切歯の萌出と開眼を早める蛋白質を分離し、これが上皮成長因子(EGF)と改名された。EGFは上皮細胞の膜にある受容体蛋白質に結合して細胞の増殖を促し、コーエンはそのアミノ酸配列も決めた。人工的に作られたEGFは、皮膚や角膜の傷の治療に役立つとされる。

1959年にヴァンダービルト大学医学部へ移って生化学の教授となり、1976年からはアメリカ癌学会の研究教授も兼ねた。1999年にヴァンダービルト大学を退職した。受賞には、1981年のローゼンスティール賞、1983年のルイザ・グロス・ホロウィッツ賞(コロンビア大学、レーヴィ=モンタルチーニと共同)、1985年のガードナー国際賞、1986年のアルバート・ラスカー基礎医学研究賞とアメリカ国家科学賞、1987年のフランクリン・メダルなどがある。1986年にはフレッド・コンラッド・コッホ賞も受けた。細胞増殖因子に関する研究は、がんの発生の理解や抗がん剤の設計の基礎になったとされる。

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