伝記
モーリス・ベルナール・センダックは、1928年6月10日、ニューヨークのブルックリンに生まれたアメリカ合衆国の絵本作家である。両親はポーランドから来たユダヤ系移民で、母はセイディ、父フィリップは婦人服の仕立屋だった。姉ナタリーと兄ジャックがいて、兄のジャックは児童文学作家になった。幼いころ、親族の多くがホロコーストで亡くなったことは、死というものを早くから彼に意識させ、少年期を「ひどい状況」だったと彼は語っている。子供のころは病弱で、寝床で過ごすうちに本が好きになった。生まれた年に登場したミッキーマウスや、アメリカの漫画、マンハッタンの明かりに魅せられ、12歳のとき、両親と観たディズニーの映画『ファンタジア』に強く惹かれて、イラストレーターになる決心をした。
高校を出ると、ニューヨークのおもちゃ店で、ショーウィンドウを飾る仕事に携わった。かたわら、アート・ステューデンツ・リーグの夜間部に通ってデザインを学び、教師のジョン・グロスから、挿絵に潜む動きと生気の可能性を学んだ。19世紀イギリスの古典絵本や、20世紀スイスの絵本にも興味をもつようになった。店の児童書の担当者が、出版社の編集者ウルスラ・ノードストロームに彼を引き合わせ、これが絵本の挿絵の仕事につながった。1952年に絵をつけた『あなはほるもの おっこちるとこ』が、ニューヨーク・タイムズの年間最優秀図書に選ばれて、広く注目された。彼はノードストロームについて、自分を温室の花のように扱い、10年間水をやって育ててくれたと語っている。
1964年に『かいじゅうたちのいるところ』でコールデコット賞を受賞し、この絵本は世界的なベストセラーとなった。主人公のマックスは、夕食抜きで寝室へ送られたことに母親に怒りを向ける。題名は、イディッシュ語で「野生の獣」を意味する言葉に由来し、ユダヤ人の親がわが子に「おまえは野獣のようだ」と叱る決まり文句だったという。牙をむく怪物の絵は、当初、恐ろしすぎるとか、しつけに悪影響を及ぼすとして、親たちから批判を浴びた。しかし、夢想的で自由な物語は子供たちの強い支持を受け、親しみやすさと芸術性の融合として高く評価されるようになった。この絵本は、『まよなかのだいどころ』『まどのそとのそのまたむこう』とともに、彼の「三部作」とされる。オリヴァー・ナッセンの作曲でオペラにもなった。
1967年の『ふふふん へへへん ぽん!』は、彼が飼っていた犬のジェニーに想を得たもので、最も気に入っていた作品である。ジェニーへのレクイエムだと語っている。1970年に国際アンデルセン賞の画家賞を、1982年に『まどのそとのそのまたむこう』で全米図書賞を、1983年にローラ・インガルス・ワイルダー賞を、2003年にアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受けた。80冊を超える作品を発表し、舞台美術や、オペラの美術も手がけた。コールデコットの絵に憧れ、その模写を好んだことが、緊密な画面構成に見られる。登場人物の描写にはディズニーの影響があり、そこに自身の幼いころの体験を重ね合わせて、独自の画風を築いた。2007年に50年間連れ添ったパートナーの精神科医が亡くなったのをきっかけに、ゲイであることを公にした。2012年5月8日、脳卒中の後遺症により、83歳で亡くなった。
同じ年に亡くなった人物
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- Jorge Manicera (2012年没)
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