伝記
トルーマン・ガルシア・カポーティは、1924年9月30日にルイジアナ州ニューオーリンズで生まれたアメリカの小説家である。出生時の名はトルーマン・ストレックファス・パーソンズといい、父はアーチ・パーソンズ、母はリリー・メイ・フォークであった。両親は彼が子供のころに離婚し、ルイジアナやミシシッピ、アラバマなど南部の各地を、遠縁の家に厄介になりながら転々として育った。身を寄せた家には、高齢者同士の孤立した世帯や、精神に障害のある高齢者もおり、その当時の思い出は、短編集『誕生日の子どもたち』に収められている。引っ越しの多い暮らしのため、ほとんど学校に通わず、独学同然に勉強した。母は後年、ジョゼフ・ガルシア・カポーティと再婚し、その後に自殺している。アラバマに住んでいたころは、のちの女性作家ハーパー・リーと幼なじみで、リーの代表作『アラバマ物語』の登場人物ディルは、カポーティがモデルである。
若いころから作品を書き、本人は「その気になって書き出したのは、十一歳の頃だった」と語ったことがある。他の子が学校から帰ってバイオリンやピアノの練習をするように、帰ってから毎日3時間ほど、夢中になって書いたという。17歳で学校をやめて『ニューヨーカー』誌のスタッフになり、2年ほど勤めた。仕事は漫画の整理と新聞の切り抜きであった。19歳のときに掲載された最初の作品『ミリアム』でオー・ヘンリー賞を受賞し、「アンファン・テリブル(恐るべき子供)」と評された。23歳で初めての長編『遠い声 遠い部屋』を出版し、若き天才作家として注目を浴びた。1947年6月には、ジャン・コクトーの世話でパレ・ロワイヤルを訪れ、作家のコレットに面会している。
その後は、中編『ティファニーで朝食を』が映画化されてヒットするなど、作品を出すたびに華やかな話題をふりまき、映画にも出演した。ノーマン・メイラーとともに、作家としては珍しくゴシップ欄の常連になった。作家や芸術家のほか、上流階級や国際社会の著名人にまで及ぶ幅広い交友があり、活発な社会生活によってたびたびメディアの注目を浴びた。1966年に発表した『冷血』は、実際に起きた一家殺人事件を題材に、たっぷりと時間をかけた調査をもとにした作品で、ノンフィクション・ノベルという新しいジャンルを切り開いた。『ニューヨーカー』に連載されると、従来のカポーティの作品を上回る広い読者を惹きつけた。『冷血』の完成を記念して、プラザ・ホテルで開かれた仮面舞踏会は、大きく宣伝されて、1960年代を象徴する出来事になった。1976年の映画『名探偵登場』には俳優として出演している。
晩年はアルコールと薬物への依存に陥り、出演したテレビで不可解な発言をするなど奇行が目立つようになった。『冷血』以降は長編を一度も書き上げることがなく、公私ともに没落していった。最後の作品となった長編『叶えられた祈り』では、事実を交えて上流社会の頽廃を描いたため、親しくしていた著名人たちの反発を招き、作品も未完に終わった。1984年8月25日、カリフォルニア州ロサンゼルスの友人ジョーン・カーソンのマンションで、心臓発作により急死した。ウェストウッド・メモリアルパーク墓地に埋葬されている。
同じ年に亡くなった人物
- トラルフ・ストロムスタット (1984年没)
- フランシス・シェーファー (1984年没)
- ミシェル・フーコー (1984年没)
- フランソワ・トリュフォー (1984年没)
- カール・コリ (1984年没)
同じ地域に関係する人物
- ジェニファー・ジョーンズ (2009年没)
- ミリザ・コルジャス (1980年没)
- マーガレット・ミラー (1994年没)
- リリー・パルマー (1986年没)
- ドン・ゴードン (2017年没)