HISTORICAL PERSON · 41年没

ルキウス・カッシウス・ロンギヌス

ティベリウスとカリグラの時代の元老院議員。紀元30年に執政官を務めた名門カッシウス氏の出身で、カリグラの妹ドルシッラの最初の夫。離婚を命じられ、のちアジア総督在任中に神託を理由に処刑を命じられた。

生涯
41年没
死亡地
イタリア共和国(ローマ県 / ローマ)
出生地
イタリア共和国(ローマ)
出典
世界地図
イタリア共和国(ローマ県)

伝記

ルキウス・カッシウス・ロンギヌスは、ティベリウス帝とカリグラ帝の時代に活動した古代ローマの元老院議員である。紀元30年に通常執政官(コンスル)を務め、同僚はマルクス・ウィニキウスだった。生年は明らかでないが、紀元前5年ごろの生まれとする説がある。カリグラの妹ユリア・ドルシッラの最初の夫として最もよく知られている。

出身は古くからの名門である平民系のカッシウス氏族で、カエサルの暗殺者ガイウス・カッシウスの弟の曽孫にあたるとされる。父は同名のルキウス・カッシウス・ロンギヌスで、紀元11年に補充執政官を務めた。母はアエリア・トゥベロとされ、法学者クイントゥス・アエリウス・トゥベロの娘である。ただし母の素性には異説があり、一説では彼女はユニア・ブラエサの娘で、ブラエサは再婚してセイヤヌスを産んでいるため、その場合ルキウスはセイヤヌスの甥になる。別の説ではスルピキア・ルファの娘とされ、その場合セイヤヌスとの血縁はない。兄弟には、のちに高名な法学者となるガイウス・カッシウス・ロンギヌスがおり、紀元30年にはこの弟が補充執政官としてルキウスの後を継いだ。

ルキウスは法律家としても評判が高く、元老院で大きな影響力をもち、市民法に関する15巻の書物を著したともいわれる。歴史家タキトゥスは、彼を厳格に育てられ、人当たりはよいが意志の強さには欠けた人物と評している。執政官在任の紀元30年には、実権を握っていたセイヤヌスを支持し、ドルスス・カエサルを死刑にするよう提案した。この提案は元老院に受け入れられたが、処刑はティベリウスによって先延ばしにされた。セイヤヌスの陰謀が露見して長官が殺害されたのちの紀元32年には、ティベリウスの嫁で夫を毒殺したとされるリウィッラの記憶を断罪する提案を元老院に出している。

紀元33年、ティベリウスの命により、ゲルマニクスの娘でカリグラの妹であるユリア・ドルシッラと結婚し、帝室の一員に連なった。紀元37年の初めにはティベリウスから委員に任じられている。同じ年にカリグラが皇帝となると、ドルシッラをマルクス・アエミリウス・レピドゥスと結婚させるため、ロンギヌスに離婚を命じた。兄妹のあいだに近親相姦的な愛情があったとの噂も伝わっている。

紀元40年から41年にかけて、ロンギヌスはアシア属州の総督を務めた。ところがカリグラは、カッシウスという者が自分を暗殺するという神託を受け、それをロンギヌスのことだと解釈して処刑を命じ、鎖につないでローマへ連れ戻させたとされる。没年は41年とされるが、この神託の逸話は弟ガイウスの身に起きたことだとする記述もあり、ガイウスは危うく処刑を免れたという。ルキウスについては33年以降の消息は不明だともいわれる。実際にカリグラを殺害したのはカッシウスという名の護衛隊の百人隊長ないし護民官カッシウス・カエレアであり、神託の言葉は奇妙な形で現実になった。ガイウスはこの事件で害を受けなかった。

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