伝記
ランプサコスのメトロドロス(年長のメトロドロス)は、紀元前5世紀に活動した古代ギリシアの前ソクラテス期の哲学者である。出身地ランプサコスは、ヘレスポントス海峡の東岸にあるギリシア人の町だった。同名の人物が多く、後世のエピクロス派の同名の弟子と区別するため、年長のメトロドロスと呼ばれる。生年は分からず、紀元前464年に没したとされる。
ディオゲネス・ラエルティオスによれば、メトロドロスはアナクサゴラスと同時代の人で、その友人であった。またアナクサゴラスの弟子で親しい間柄だったとも伝えられ、哲学上ではその影響を受けて、世界を創り整えた能動的な精神という考えに賛同していたらしい。ソクラテスと同時代の人とされることもある。
メトロドロスの名で最もよく知られるのは、ホメロスの解釈である。プラトンの対話篇『イオン』には、ホメロスの解釈者としてタソスのステシンブロトス、レギオンのグラウコンと並んでその名が挙がっており、これが現存する最も古い言及である。彼らはアナクサゴラスに始まる寓意的解釈の方法を発展させた人々とされる。メトロドロスの解釈の最大の特徴は、ホメロスの描く神々や物語を、自然の力や現象を表すための形と見なすことだった。『イリアス』と『オデュッセイア』を自然学の立場から読み、神々は「自然の原理と自然の要素の配置」にほかならないと考えたのである。
ピロデモスの証言によれば、ホメロスの登場人物は自然界に働く力を述べるための詩的な象徴であった。たとえばアガメムノンはアイテル(上層の大気)、アキレウスは太陽、ヘクトルは月に結びつけられ、神々では、ゼウスは知性、アテナは技術、デメテルは肝臓、ディオニュソスは脾臓にあたるとされた。メトロドロスにとってホメロスの詩は、詩という隠された象徴の形で自然を説いた大きな書物だった。哲学の観点からホメロスを研究した先駆者であったと考えられる。
1962年に発見されたデルヴェニ・パピルスには、オルフェウス教の詩を寓意的に解釈した文書が含まれる。この文書の著者がメトロドロスだという説は今日の研究では退けられているが、寓意的解釈から自然学の教説を引き出すメトロドロスの方法が、その成立に影響した可能性は指摘されている。
同じ年に亡くなった人物
- アルタバノス (紀元前463)
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