HISTORICAL PERSON · 2022年没

ウィリアム・ハート

アメリカの俳優。1985年の『蜘蛛女のキス』でアカデミー主演男優賞とカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。

生涯
2022年没
死亡地
アメリカ合衆国(オレゴン州 / ポートランド)
出生地
アメリカ合衆国(ワシントンD.C.)
出典
世界地図
アメリカ合衆国(オレゴン州)

伝記

ウィリアム・ハートは、アメリカ合衆国の俳優である。1950年3月20日にワシントンD.C.で生まれ、2022年3月13日に世を去った。1985年の映画『蜘蛛女のキス』でアカデミー主演男優賞とカンヌ国際映画祭の男優賞を受けたことで知られる。

本名はウィリアム・マクチョード・ハートといい、父はアメリカ国務省の官僚、母はタイム社で働いていた。父の仕事の都合で、幼い頃にはパキスタンのラホール、ソマリアのモガディシュ、スーダンのハルツームで過ごしている。両親は離婚し、母は出版業界で成功したヘンリー・ルースの息子ヘンリー・ルース3世と再婚した。進学後は神学を学んだが、やがて俳優になることを決めて転学し、ニューヨークのジュリアード音楽院で演劇を学んだ。のちにフランス語に堪能な人物としても知られるようになる。

キャリアは舞台から始まった。1970年代の終わりに舞台に立ち、1980年代には『ヘンリー五世』『リチャード二世』『夏の夜の夢』といったシェイクスピア劇や、ランフォード・ウィルソンの作品などに出演した。1985年には、シガニー・ウィーバーと共演した舞台でトニー賞の主演男優賞候補になっている。映画では1980年にケン・ラッセル監督の『アルタード・ステーツ』でデビューし、翌1981年に『目撃者』と『白いドレスの女』に出た。その後も『ゴーリキー・パーク』『再会の時』『偶然の旅行者』などに出演した。『蜘蛛女のキス』の演技でカンヌの男優賞と、翌年のアカデミー主演男優賞を獲得し、続く『愛は静けさの中に』と『ブロードキャスト・ニュース』でも主演男優賞に候補として挙がった。

その後も活動の幅は広く、1990年にはウディ・アレン監督の『アリス』、1994年に『スモーク』、1996年にはゼフィレッリ監督の『ジェイン・エア』に出演した。1990年代の終わりには『ダーク・シティ』『ロスト・イン・スペース』『A.I.』といったSF作品にも加わっている。2005年の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』では助演男優賞の候補になった。2007年には『イントゥ・ザ・ワイルド』で主人公の父を演じた。2008年の『インクレディブル・ハルク』から2021年の『ブラック・ウィドウ』まで、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品で、将軍から国務長官となるサディアス・ロスを演じ続けた。

私生活では多くの交際で知られた。1971年に女優のメアリー・ベス・ハートと結婚し、1982年に離婚している。その間の1981年にサンドラ・ジェニングスとの関係が始まり、1983年に息子が生まれた。のちにジェニングスは事実婚の承認を求めて訴えを起こしたが、認められなかったとされる。女優マーリー・マトリンとは2年ほど同棲した。マトリンは、その関係に暴力や薬物の使用があったと語っており、ハートは2009年にそのことを謝罪している。1989年から1992年(1993年とも)まで女優のハイディ・ヘンダーソンと結婚して息子2人をもうけ、その後はフランスの女優サンドリーヌ・ボネールと暮らして1994年に娘が生まれた。

晩年、前立腺癌が見つかったときにはすでに治療の難しい段階にあり、癌は骨にも転移したという。2022年3月13日、前立腺癌の合併症のため、オレゴン州ポートランドの自宅で亡くなった。72歳の誕生日を目前にした死だった。ロス役はその後ハリソン・フォードが引き継ぐことになった。

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